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悪法を守ってソクラテスは死んだ

今国会に議員立法で提出されようとしている、著作権法改正案。
それは、違法ダウンロードに刑事罰導入を提案するものだそうです。(朝日新聞2011/4/17)

結論から言います。
私個人は、ダウンロードへの刑事罰導入は極めて慎重に議論すべきだと思います。

確かに、ネットは無断転載天国です。
著作者の利益を著しく損ねているものに関しては、厳しく取り締まるべきだと思います。
漫画、アニメ、音楽などのソフトウェアコンテンツは「クール・ジャパン」を支えるドル箱です。
それらを作り出すクリエーターや彼らが身を置く業界が継続していく為には、知的財産を法的にきちんと保護するシステムが必要なのは自明の理でしょう。
ただし、この「違法ダウンロード」とは、何を以て「違法」と定義付けているのでしょうか?
将来的にその点が拡大解釈され、最悪曲解されてしまった場合。権力を告発、或いは物申すコンテンツを「違法」と見なし、それらをダウンロードした個人に対して家宅捜索や刑事罰を科す事が容易になってしまう…といった、言論弾圧に利用されてしまう可能性も、決して絵空事とは言い切れないのではないでしょうか。
一時、反原発を訴える楽曲や映像作品が公共電波から締め出されたように。社会の矛盾を突くコンテンツを「違法」として、マスメディアのみならずネット上からも抹殺する手段にもなりかねないのではないか?そんな危機感を覚えずにはいられません。

勿論、職場のパソコンで無断でウィニーのようなソフトを使うなど言語道断ですが。

いずれにしても、同時提出される他の改正案を通す為や、民主党の「メンツ」の為に提案されるべき法ではない事は明らかです。
これまで、こうした法改正は文化審議会にかけて落とし所を探ってきた上で提出されていたそうです。
前例主義の筈の永田町と霞ヶ関が、今回に限ってそれら議論の場を通さない事に、何か作為的なものを感じてしまうのは気の所為でしょうか?(ジャーナリスト・津田大介氏の発言より)

将来、言いたい事を言ったが為に「悪法も法である。守らなければならない」と毒人参を飲まされないように。
最後に残されたとも言える「自由の空間」――即ち、ネットの自由を守る為にも、私たちはより秩序ある言動を心掛けていく必要があるのではないでしょうか。
言論の自由は、発言する一人一人の知識と見識、そして良識ある言動が守っていくものなのですから。