本当に電力は不足しているのか?

今年の夏も暑さが本格化し、クーラーなしでは熱中症になりそうな日がありました。
そんな中でも、総量は原発50基分とも言われる5000万kwにもなる民間企業や個人の自家発電、所謂「埋蔵電力」を買い上げて「不足分」に充てれば、鬼のように節電する必要はないのではありませんか?
にも関わらず、東電はそのうちの46%しか買い上げていないといいます。(飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長)
その上、震災当初から自家発電した電力を融通していたJFEスチールや新日本製鉄などに続き、JR東日本や横浜市のゴミ処理場なども夏の電力融通に加わっています。
これだけ目の前に使える電力があるのに、なぜか電力会社は使おうとしません。

しかも、東京電力は東北電力に電力を融通して停電を回避したと発表しました。(朝日新聞2011/8/5)
東日本大震災での火力発電所の被災に加え、先月末に新潟と福島両県を襲った記録的豪雨で管内の水力発電所29カ所が停止して計100万キロワットの供給力が失われ、東北電管内の電力が逼迫した事による措置でした。(北海道電力も協力)
今まで首都圏の電力の賄ってくれた東北のピンチを、関東が助けるのは当然の事でしょう。
それにしても、地域独占が基本の国策電力会社であり電力使用制限真っ只中の東電に、他所の管内に融通出来るほど電力に余裕があったとは知りませんでした。

さらに問題なのは、オイルショックの時のような「総量節電」が必要であるかのように振る舞い、協力すべきは「ピーク時節電」であるという事を当初はきちんと伝えていなかった事です。
電力使用制限令の為に生産効率を落とさざるを得なかった企業(特に何の助け舟もない中小零細)や、本当に「節電」したが為に熱中症に倒れた人や灯の消えた道で交通事故に遭った人に対してどう保障するつもりなのでしょう。

また、繰り返し指摘されてきた事ですが、そもそも全原発を停止しても深刻な電力不足に陥る訳ではない可能性も提示されています。
2003年に東電が原発を全て止めた時、夏のピーク時の電力需要予測は6450万Kw。
実際は冷夏でもあり、そこまでいかなかった。(※)
それが去年(2010年)のあの暑い夏のピーク時の需要は5700万Kwだった。
省エネ技術は進んでいる。(Twitter/河野太郎)
(※東洋経済にも掲載されていたデータです)

かつてオイルショックを経験した日本の省エネ技術は世界トップクラスです。
自然エネルギーも含めた、あらゆる産業と電化製品のエネルギー効率を良くしていく工夫はこれからも続くはずです。
その上、少子化で日本の人口が今後減っていくのだとしたら、一体どこに原発で発電しなければならないほどの電力需要が生まれるというのでしょう?

今回の計画停電と節電要請では、政財官の電力利権の暗部と今まで如何に必要以上の電力を「使わされていた」かという事に気付く機会になったように思います。
当面は、電力使用の優先順位を今まで以上によく考えながら使用し、民間の電力を適正価格できちんと買い取り、送電網の法外な使用料を見直し、現行の火力・水力発電などで凌いでいく事になるでしょう。
そうしている間に、人間と人間が住まう環境を害する廃棄物を出さない再生可能エネルギーの開発と普及に全力を傾ける時が来たのかもしれません。

(※火力発電に大量の石油が必要との意見もありますが、実際の日本の火力発電の内訳は石炭と天然ガスがそれぞれ40%強、石油は15%弱。排ガス除去技術も普及しています。)