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物申す株主の姿

五月に、東北電力の株主232人が「原発を廃止する。代替可能で多様な電源システムの構築に向けてまい進する」との文言を盛り込むよう求めるてから一ヶ月。(時事通信2011/5/3)
他の電力会社でも、心ある株主たちが立ち上がりました。

東京電力の株主402人は、
「放射性廃棄物についても具体的な処分は進められず、費用がどれだけ莫大になるか不明」
「未来の子どもたちに負の遺産を残し、地元に負担を押しつける原発からは即時撤退すべきである」
などの理由から
「古い原発から順に停止・廃炉とする」「原発の新設・増設は行わない」といった原発撤退の定款記載を提案。(毎日新聞2011/6/10)
関西電力の株主124人は、
「放射能の処理ができない原発はやめる」よう定款の変更を求め、撤退まで役員報酬を支給しないことやプルサーマル計画の凍結など計7議案を提案。
さらに別の株主36人も、建設から30年以上たつ高経年化炉の廃炉を念頭に自然エネルギーへの転換を求める議案を提出。(毎日新聞2011/6/12)
九州電力株主70人は、玄界原発(佐賀県)と川内原発(鹿児島県)の廃炉と新規立地・増設の中止などを求める議案4件を提出。(朝日新聞2011/6/11)

いずれも取締役会は反対を表明しており、猛烈な抵抗が予想されます。
しかし、是非とも最後まで負けずに頑張って戴きたいと願わずにはいられません。
何より、デモやネット声明など外側からの声に、当の国策電力会社の株主という内側からの声が加わった事は、非常に大きな意義があると言えるでしょう。

これらの出来事に先立ち、東電の株を持つ東京都の主婦の方が、とても興味深い投書をされていました。(朝日新聞2011/6/6)
2010年6月の東電株主総会で、273人の株主が「核廃棄物処分検討委員会の設置」「高速増殖炉からの撤退」「取締役会の報酬の公開」などを提案していた。
彼女はその提案に賛成票を投じたものの、結果は否決。
そして福島第一原発事故で東電の株は暴落し、株主たちは困っており、自身もその一人だといいます。
しかし、「株主としての責任ある行動をとりたい」と東電の株を売らずに持ち続ける事を決心し、「東電がどう社会的責任を果たしていくのか。株主として発言していきたい」と結ばれていました。

株を持つという事は、企業の事業や経営方針を応援するという事であり、その企業に対して発言の権利を与えられるという事です。
企業の資産を切り売りさせて「配当」の名のもとに毟り取るといった、経営理念も顧客をも蔑ろにする「悪しき株主上主義」も罷り通る中。
彼ら個人株主の姿勢、勇気は、「物申す株主」の鑑のように思えてなりません。