東電が七月末で5200万キロワットの電力を確保出来る見通しになり、15~25%抑制の節電目標は引き下げもありえると発表。(毎日新聞2011/4/15)
これを受けて海江田経産相は「需要抑制見直しの可能性が出てきた」と述べ、節電目標の引き下げを「示唆」。
被災や定期点検中だった火力発電の復旧に目処がついた他、袖ヶ浦火力発電所などの敷地に計108台のガスタービン施設を設置し、目標としていた5000万キロワットを確保。
一方で、八月末は柏崎刈羽原発二基の定期点検入りで5070万キロワットまで下がる見通し。
少なくとも5070万キロワットは確保可能という事は、今夏が平年並みの暑さと仮定した場合の実質不足分は「5500万-5070万=430万キロワット」。
昨年夏並みの猛暑だった場合のピークは6000万キロワットですが、それでも不足分は930万キロワット。
不足はあくまでも「ピーク時」の話しであって、夏になったらエアコンの需要増で即停電になるわけではありません。
実際、1998年8月一ヶ月分のデータでも火力・水力の供給量を上回ったのは30日中11日。
その月の最大需要1億6699万キロワットに対して、供給量は1億5000万キロワット。
原発が賄っていたのは、わずか1699万キロワットでした。(「これから起こる原発事故・改訂版」宝島社2007)
暑い日は薄着をする、エアコンの温度を下げすぎない「クールビズ」や自販機の輪番停電(朝日新聞2011/4/)も、塵も積もれば効果的な筈。
やはり、当面は火力発電の増強で問題なく補えるでしょう。
ガスタービンは高圧部が無いことから設置に際し規制が緩やかで生産も早い為、メーカーが大急ぎで増産中。
茨城県など被災したり休止中だった各地の火力発電所の復旧も急ピッチで進行中です。
同時に、大手企業を中心に停電への備えが広がっています。
東京ディズニーランドも、営業に必要な電力のうち七割は自家発電で賄えるようにするべく増設を開始。(朝日新聞2011//)
さらに、電気事業法27条なる法律があるそうで、これは大口需要家である経団連等の大企業には、電気代を割り引く代わりに非常時には電源を止めても構わないという協定です。
万が一の時は、大企業たるもの「社会貢献」してもらいましょう。
勿論、一般家庭の節電は大前提で。
そして震災で東北中の原発が停止した日。
鉄鋼メーカーのJFEスチールと新日本製鉄君津製鉄所が、二社で計88万キロワット(ほぼ原発一基分)を東電に供給し続けくれた一幕がありました。(毎日新聞2011/4/9)
東電(と全国の国策電力会社)はこういった「電力卸売事業者」に協力を仰ぎ、自家発電に余裕がある各家庭からも積極的に「売電」を受け入れて、
乗り切って欲しいものです。
原発の再起動はあくまでも最終手段。
あらゆる手を尽くした末の「苦渋の決断」でなければ、あまりにも安易過ぎると思います。
あとは何より、蓄電器の開発が急務でしょう。
太陽光発電を持つ家庭は計画停電中も自家発電で賄えたそうですが、蓄電機能がない為に夜間の電力は供給不能だったといいます。(朝日新聞・声欄)
現在、出回っている蓄電器は業務用の高価な品か、家庭用の小さな充電器(PCを数時間動かせる程度)くらいしかありません。
ですが、電気自動車のバッテリーが作れて、蓄電器が作れない訳は理論的にはないと思います。
さらに「オール電化」とは、原子力発電で「余った電力」を使ってしまおうという東電の目論見から作られた事業であり、
文字通り「湯水のように」大量の電力を使い続けるライフスタイルを奨励しているのです。
つまり、「エコ」「省エネ」からは寧ろ逆行していると言わざるを得ないと思います。
二十年程前までは、日本が自然エネルギーの技術開発・製造・普及率ともに世界トップクラスでした。
それが、当時の技術力の限界(太陽光発電は高価な割りに発電能力が低い、風力発電は低周波公害がある、等)と
脱・石油に便乗した原発推進の流れで手厚い予算も補助制度も全て原発事業に行ってしまった事で、ドイツに抜かれていたのです。
しかし、時代は変わりました。
技術開発は進み続け、発電効率も上がり、設置コストも二十年前より下がりました。
でなければ、ドイツで自然エネルギーが普及出来た事実をどう説明するのでしょうか。
一方で、ドイツは「世界第二位の原発大国」であるフランスから最も電力を輸入している側面もあります。(続いて、イギリス、イタリア、スペインetc)
自然エネルギー増設と国内電力の安定供給の両立は、フランスから購入する電力があったからこそ可能だったのかもしれませんが。
オイルショックの激震から、日本はエネルギー政策の大転換を迫られました。
文字通り「石油危機」を前に「脱・石油」を目指して代替エネルギー開発を国レベルで推進し、石油依存を激減させたのです。
国を挙げての省エネ対策計画「ムーンライト計画」では、中間冷却器、熱再生器を搭載した世界最高水準の高効率のガスタービンが開発されています。
また、火力発電で生じる猛毒の硫黄にカルシウム(日本に豊富にある石灰)を混ぜる事で石膏にして無害にする排煙脱硫技術は、四日市喘息などの大気汚染公害を解決しました。
次世代エネルギーが開発出来て、省エネ技術が出来ないなんて事はない筈です。
ましてや、「もしも」の時のバックアップシステムが作れないなんて事も。
面白い記事を書いている方がいました。参考までに。↓
次世代エネルギーについて色々と調べてみました(ブログ内) / もとまかさん
「資源が少ない日本は原発に頼らざを得ない」などという結論は、まだ尚早です。
唯一の国産ウランの調達先だった鳥取県と岡山県の境に位置する人形峠では、原子燃料公社(のち動力炉核燃料開発事業団)が延べ1000名の労働者への被曝対策を怠り、掘り起こした放射性残土で土壌を汚染し、挙句に採算が取れなくなって1977年に採掘を放棄しました。
つまり、現在の日本で原発を動かしている核燃料は「輸入品」なのです。
アメリカからウラン鉱石を買い、今度はイギリスで燃料に加工してもらい、また買うといった「二度手間」の形をとっています。
同じ「電力輸入」をするのなら、ウランは良くて天然ガスはいけないなどという事はないと思います。
幸い、21日に来日したオーストラリアのギラード首相との会談では、火力発電用の天然ガスの安定供給に確約を得られたようです。
ロシアへのガス依存や東シナ海ガス田開発問題の再燃は、今の所心配なさそうでホッとしています。
オイルショックから生まれた省エネ意識と脱・石油依存の道筋。
今は、フクシマショック生まれた節電意識が脱・原発依存への道筋に繋がれば良いなと願っています。
茨城県など被災したり休止中だった各地の火力発電所の復旧も急ピッチで進行中です。
同時に、大手企業を中心に停電への備えが広がっています。
東京ディズニーランドも、営業に必要な電力のうち七割は自家発電で賄えるようにするべく増設を開始。(朝日新聞2011//)
さらに、電気事業法27条なる法律があるそうで、これは大口需要家である経団連等の大企業には、電気代を割り引く代わりに非常時には電源を止めても構わないという協定です。
万が一の時は、大企業たるもの「社会貢献」してもらいましょう。
勿論、一般家庭の節電は大前提で。
そして震災で東北中の原発が停止した日。
鉄鋼メーカーのJFEスチールと新日本製鉄君津製鉄所が、二社で計88万キロワット(ほぼ原発一基分)を東電に供給し続けくれた一幕がありました。(毎日新聞2011/4/9)
東電(と全国の国策電力会社)はこういった「電力卸売事業者」に協力を仰ぎ、自家発電に余裕がある各家庭からも積極的に「売電」を受け入れて、
乗り切って欲しいものです。
原発の再起動はあくまでも最終手段。
あらゆる手を尽くした末の「苦渋の決断」でなければ、あまりにも安易過ぎると思います。
あとは何より、蓄電器の開発が急務でしょう。
太陽光発電を持つ家庭は計画停電中も自家発電で賄えたそうですが、蓄電機能がない為に夜間の電力は供給不能だったといいます。(朝日新聞・声欄)
現在、出回っている蓄電器は業務用の高価な品か、家庭用の小さな充電器(PCを数時間動かせる程度)くらいしかありません。
ですが、電気自動車のバッテリーが作れて、蓄電器が作れない訳は理論的にはないと思います。
さらに「オール電化」とは、原子力発電で「余った電力」を使ってしまおうという東電の目論見から作られた事業であり、
文字通り「湯水のように」大量の電力を使い続けるライフスタイルを奨励しているのです。
つまり、「エコ」「省エネ」からは寧ろ逆行していると言わざるを得ないと思います。
二十年程前までは、日本が自然エネルギーの技術開発・製造・普及率ともに世界トップクラスでした。
それが、当時の技術力の限界(太陽光発電は高価な割りに発電能力が低い、風力発電は低周波公害がある、等)と
脱・石油に便乗した原発推進の流れで手厚い予算も補助制度も全て原発事業に行ってしまった事で、ドイツに抜かれていたのです。
しかし、時代は変わりました。
技術開発は進み続け、発電効率も上がり、設置コストも二十年前より下がりました。
でなければ、ドイツで自然エネルギーが普及出来た事実をどう説明するのでしょうか。
一方で、ドイツは「世界第二位の原発大国」であるフランスから最も電力を輸入している側面もあります。(続いて、イギリス、イタリア、スペインetc)
自然エネルギー増設と国内電力の安定供給の両立は、フランスから購入する電力があったからこそ可能だったのかもしれませんが。
オイルショックの激震から、日本はエネルギー政策の大転換を迫られました。
文字通り「石油危機」を前に「脱・石油」を目指して代替エネルギー開発を国レベルで推進し、石油依存を激減させたのです。
国を挙げての省エネ対策計画「ムーンライト計画」では、中間冷却器、熱再生器を搭載した世界最高水準の高効率のガスタービンが開発されています。
また、火力発電で生じる猛毒の硫黄にカルシウム(日本に豊富にある石灰)を混ぜる事で石膏にして無害にする排煙脱硫技術は、四日市喘息などの大気汚染公害を解決しました。
次世代エネルギーが開発出来て、省エネ技術が出来ないなんて事はない筈です。
ましてや、「もしも」の時のバックアップシステムが作れないなんて事も。
面白い記事を書いている方がいました。参考までに。↓
次世代エネルギーについて色々と調べてみました(ブログ内) / もとまかさん
「資源が少ない日本は原発に頼らざを得ない」などという結論は、まだ尚早です。
唯一の国産ウランの調達先だった鳥取県と岡山県の境に位置する人形峠では、原子燃料公社(のち動力炉核燃料開発事業団)が延べ1000名の労働者への被曝対策を怠り、掘り起こした放射性残土で土壌を汚染し、挙句に採算が取れなくなって1977年に採掘を放棄しました。
つまり、現在の日本で原発を動かしている核燃料は「輸入品」なのです。
アメリカからウラン鉱石を買い、今度はイギリスで燃料に加工してもらい、また買うといった「二度手間」の形をとっています。
同じ「電力輸入」をするのなら、ウランは良くて天然ガスはいけないなどという事はないと思います。
幸い、21日に来日したオーストラリアのギラード首相との会談では、火力発電用の天然ガスの安定供給に確約を得られたようです。
ロシアへのガス依存や東シナ海ガス田開発問題の再燃は、今の所心配なさそうでホッとしています。
オイルショックから生まれた省エネ意識と脱・石油依存の道筋。
今は、フクシマショック生まれた節電意識が脱・原発依存への道筋に繋がれば良いなと願っています。