三陸の味を獲る人々

「震災後」を写した一枚の写真。
雪がちらつく瓦礫の中で、ぎこちなく笑う一人の老いた漁師。手には、泥だらけになった船舶免許証。
被写体は、宮城県南三陸町の折立漁港でワカメ養殖業を営んでいた渡部清一さん。
その張り裂けそうな笑顔が、心に「何か」を残しました。

渡部さんは漁師から養殖業に転身。同町の折立漁港で十五年間ワカメの養殖を営んできて、今年は「当たり年」だった。
帆立や牡蠣の養殖も盛んな漁港だったが、船も建物も全て津波に持っていかれて壊滅。
渡部さんも所有する2隻の船だけでなく、家も失った。
地震が起きたのは、港の倉庫で妻の孝子さんと手伝いの女性の三人でワカメの出荷準備をしていた時。
荷物を取りに行こうとした渡部さんに孝子さんが
「何もいらないからとにかく逃げよう」と主張。
すぐに後続の車は渋滞で動かなくなった。全てを失ったが、
「あれが正解だったんだなあ」と振り返った。
今も隣の登米市の避難所で生活するが、何か残っていないかと港付近を探し回った。
すると、27日に港から約2キロ離れた川岸の土手の泥の中から、渡部さんの船舶免許などが入った袋を見つけた。
地震当日は船のブリッジに積んでいたもので、養殖の片手間でやっていた釣り船の許可証などもそのまま入っていた。
「この年齢でまた養殖を始めるのは無理だけど、小さな船を買って釣り船でもやろうか」
と小さな希望を語った。
(時事通信2011/3/29より)

先日、我が家のワカメが釜石産だったという話しを書いた矢先に見つけた記事です。
場所は違えど、こういう人達から届けられていた海の幸を口にしていたんだなと、また少し実感が沸いた思いでした。
そして、あの美味しさがしみじみと思い出されるのが、何だか不思議でもありました。

>>メッセージお返事
3月28日にメッセージわくれたなおさん
あ、それ我が家もやった事あります。お仲間ですね♪
チリ鉱山落盤事故やニュージーランド地震の時とかにも、その産地のワインをと父が買ってきたりしてました。
ちなみにどれも美味しかったです。
募金も良いけど、その土地の産物を買う事も立派な貢献だと思いますし、何より少しでも産業を助ける事が
被災地の自立に繋がりますしね。