fc2ブログ

医師会と厚労省は何の為にあるのか?

インド由来のデルタ株の蔓延や夏休みによる人流増加などで、感染者が再度急増する中。
新型コロナウイルス対応で、厚生労働省が方針転換をしました。
感染患者の入院や宿泊療養を、感染者の多い地域では「原則」自宅療養にするとの事です。

入院患者以外は原則自宅 政府、宿泊療養を限定|毎日新聞 2021.8.2

…一体どこから突っ込めばいいのか、非常に困まるニュースです。
自宅療養をさせたいのなら、まずは「1類感染症」から「5類感染症」へ指定し、経口摂取可能なとりあえずの治療薬を承認して行き渡らせる下準備をしておくべきではなかったのでしょうか。


確かに、ワクチン摂取が進んだ事で、重症化リスクの高い高齢の感染者は減少傾向にあります。
しかし、目先の病床逼迫を避けたいあまり、経過観察が必要な患者を分散させては、保健所や保健課の対応能力が今度こそ追いつきません。
今後は入院対象者を重症患者に絞り、宿泊療養も「家庭内感染の恐れや事情がある場合に活用」などに限定するという事ですが、最多の感染原因とされる家庭内感染を広げるだけの愚策に思えてなりません。
日本は家族の人数分の個室もない狭小住宅が多く、トイレや浴室など水回りがほぼ共通という構造をしているからです。
せめて、宿泊施設を借り上げるなどして、軽症患者を集中管理可能な体制にするべきではないでしょうか。
そして、入院患者対応で手一杯の勤務医と看護師に代わり、地域の開業医と看護師に協力してもらうよう医師会から是非働きかけてもらえないものでしょうか。


自宅療養増加の東京、大阪の医療崩壊「再現」懸念|産経新聞 2021.8.3

東京都の健康観察「限界に近い」、対象を30歳未満に縮小 自宅療養1万2000人超<新型コロナ>|東京新聞 2021.8.3

新たな方針『原則自宅療養』…吉村知事は経過観察について懸念「誰が診るのか」|MBS 2021.8.3

自宅で死亡した新型コロナ感染者 半年間で84人|NHK 2021.8.3


医療現場は逼迫して久しい。それは一年前からずっと指摘されてきたはずです。
東京医科歯科大学病院を始めとした公立病院や一部の私立総合病院などに入院患者が集中。
その上、勤務医や看護師は以前から慢性的な人手不足で、病床はあれども診る人がいない状況です。


「医療崩壊」が現実味 少ない医師・看護師、現場逼迫 日本の医療課題がコロナで噴出|産経新聞 2021.1.12

新型コロナ、医療崩壊の“元凶” 感染症専門病院がほぼゼロ 患者受け入れ実績が全病院の18% 識者「力があっても受け入れない病院がある」|夕刊フジ 2020.12.28

公的医療の立て直しが急務 経済効率優先で脆弱化 「病床過剰」のはずが医療崩壊の危機に|長州新聞 2020.12.30


そもそも、病床と人手が不足する原因の一つに、新型コロナが「1類感染症」並みの対応を必要とされるからという指摘もあります。
エボラ出血熱やペストなどと同等の「1類感染症」相当に指定されたまま、隔離病棟とは比べ物にならない設備の自宅に待機させる事自体、矛盾しています。


Nスタのキャスター固まらせた、怒りの発言「倉持先生」がトレンド1位|日刊スポーツ 2021.8.3

新型コロナの「指定感染症」は過剰。インフルエンザと同じ「5類感染症」に|論座/岡田幹治 2020.10.19

「エボラ並み」どう見直す? 無症状、宿泊療養徹底―「指定感染症」維持か・コロナ|時事通信 2020.9.5


また、ワクチン投与と並行して治療薬も投入していかなければ、慢性的な病床及び人手不足が長期化するばかりだと思います。
ギリアド社製のレムデシビルはスピード承認したのに、旧・富山化学工業のアビガンや旧・万有製薬のイベルメクチンはスピード承認しようとしない。
これでは、厚生省はアメリカ企業に忖度し、天下りを受け入れない企業を排除しているのではないかとの疑惑を持たれても仕方ありません。
特に、アビガンとイベルメクチンはジェネリック。国民の命を守る為に、製薬会社に「儲からない」薬を作らせるのですから、厚労省がきちんと買い取る保証も必要です。
塩野義製薬の新型インフルエンザワクチンの時のように、国が梯子を外して逃げ出すようでは、製薬会社もまた倒産の危険から逃げ出すのも無理はありません。
これらはいずれも新型コロナ専用の治療薬ではないので、当然効果は限定的です。WHOとCDCの間で見解が割れていたり、根拠となる論文に疑問符がついたりと、平時のように確実にとはいきません。
それでも、宿泊・自宅療養の患者が医師や看護師の手を借りずとも摂取可能な薬が行き渡れば、少しでも重症者を減らせるはずです。重症者の減少は入院待機者の減少に繋がり、後遺症や死亡者の減少にも繋がり、事態の好転にも一歩近付くのではないでしょうか。


第4波から見えた薬の課題 「抗寄生虫薬イベルメクチン」治験続くも承認の目途立たず|ytv 2021.7.15

新型コロナ治療薬の現在 結局レムデシビルは効くのか?トランプ氏に使われたモノクローナル抗体の効果は?|忽那賢志/感染症専門医 2020.11.3


また、ドイツのメルケル首相やフランスのマクロン大統領など「これはウィルスとの戦争だ」と、国内の医療機関の総力を上げて対応に当たらせ、医学生や短時間の研修を受けただけのアルバイトにまで動員をかけました。
当然、医療事故も起きていますが、欧州を始めとする諸外国では、日本なら「医療崩壊」と定義されるレベルが平時も常。日本の医療は公平で手厚い分、非常時には人手不足に陥りやすい構造をしています。
話を戻すと、日本の開業医は一部を除いてほとんどが新型コロナ患者の対応をしてきませんでした。それら開業医の代弁者が、中川会長をトップとする日本医師会です。
これでは、儲からない新型コロナ患者を診ないでおきながら、政府に緊急事態宣言やワクチン投与の手当て増額ばかりを要求していると見なされてしまうのではないでしょうか。

厚生労働省によると、昨年9月時点で、コロナ患者を受け入れ可能な医療機関は全体の23%
医療機関全体の7割を占める民間病院が18%にとどまることが足かせになっている。
病床数が少ないほど患者を受け入れていない傾向もある。
産経新聞 2021.1.12 より


「観客6万人がマスクなし」1日5万人感染でも"普通の生活"に戻った英国と日本の違い|プレジデント・オンライン 2021.7.29


ちなみに、新型コロナと季節性インフルエンザを比較するマスメディアが見当たらない事が一年前から不思議で仕方ありません。
インフルエンザの病原は、コロナウィルスの一種。つまり「新型コロナ(COVID-19)」とは、インフルエンザをもたらすコロナウィルスの新種という事になります。
毎年の感染者数と死者数、ワクチン接種による予防率や重症化率そして副反応リスクなど、長年のデータが蓄積されているインフルエンザと比較すれば推測可能な事はたくさんあったはずです。

批判を恐れるあまり出来る事をしないで右往左往しているだけの関係各所も、非常時に平時並みのゼロリスクを要求して大騒ぎするだけの外野も、非常事態下で命を守るとはどういう事かを理解しているのか大いに疑問符がつきます。

完璧主義では、何も出来ない。
悲観主義者は全ての好機の中に困難を見つけるが、楽観主義者は全ての困難の中に好機を見いだす。
ウィンストン・チャーチル(英国首相・政治家/1874 - 1965)