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フェイクニュースを最も多く流してきたのはマスメディア

※2017/02/25 (Fri) 23:59 加筆

「世界の歴史において、今日のアメリカに報道の自由などというものはありません。(-中略-)誰ひとりとして正直な意見を書ける記者などいないし、たとえ書いたとしても絶対に印刷されないこともよくわかっています。私が勤め先の新聞社から給料をもらえるのは、正直な意見を書かないからです。(-中略-)正直な意見を書くような愚か者は、すぐに仕事を失い、別の仕事を探さねばなりません。たとえ、私の率直な意見が新聞に掲載されたとしても、すぐに解雇されるでしょう。記者とは真実を壊し、公然と嘘をつき、事実を歪曲し、人を中傷し、富の邪神にへつらい、自分の国も国民も日々の糧のために売り飛ばすことです。(-中略-)我々は舞台の陰に潜む金持ち連中の道具であり召使なのです。(-中略-)我々は知性を売りとばした娼婦なのです」

――ジョン・スウィントン - 『ニューヨーク・タイムズ』記者
1880年、マスコミ首脳が集まるパーティーでのスピーチより




『ニューヨーク・タイムズ』といえば、『ワシントン・ポスト』や『ウォール・ストリート・ジャーナル』と並ぶアメリカを代表する高級紙。創刊は1851年。朝日新聞社と提携しており、東京支局は朝日新聞東京本社ビル内に設置されています。

南北戦争後に南部に対する寛大な論調を採用したり、1918年掲載の第一次世界大戦に関する記事を皮きりにピューリッツァー賞を90回も受賞、1971年にはベトナム戦争の開戦理由であるトンキン湾事件が捏造である事が記された国防総省の秘密資料「ペンタゴン・ペーパーズ」を掲載して政府と報道の自由を巡って法廷で闘い、湾岸戦争開戦へと世論の8割を誘導した「ナイラ証言」が駐米クウェート大使の娘に演じさせた偽証だった事を暴くなど気を吐いたものの、2002年には事実報道と論説を混同した広告記事が問題になり、外国特にアジア・アフリカに関するステレオタイプな報道姿勢など、かつて米西戦争・米比戦争によるフィリピンの植民地化、ハワイ王国乗っ取り、日系人の強制収容を煽動したハースト社系メディアのような「イエロージャーナリズム」的側面も否めません。

また、同紙は近年議論の的となっている"フェイクニュース"を象徴する不祥事を起こしています。
2002年9月8日に掲載した記事が発端となった、イラク大量破壊兵器報道とそれに絡むCIA職員の個人情報リークを巡るプレイム・ゲート事件
イラク戦争開戦の口実として利用する為に、チェイニー副大統領(当時)のスタッフであるリビー副大統領首席補佐官(当時)らが、フセイン政権(当時)の核開発疑惑を煽る報道をニューヨーク・タイムズにさせていた…いわば"合衆国政府による自作自演"とも云える世論誘導工作に、ニューヨーク・タイムズが加担していた事が発覚したのです。

フセイン政権崩壊後、開戦の理由であった筈の「大量破壊兵器」はどこからも発見されませんでした。
2001年のニジェール疑惑以来、フセイン政権にさんざんかけてきた核開発疑惑の"証拠"は、IAEA(国際原子力機関)が数時間の鑑定で偽物と看破出来る程の稚拙な偽造文章を始めとする捏造情報だったのですから、当然の結果でした。
しかし、ホワイトハウスは「偽の証拠で開戦すべきではない」とするCIAの警告にも耳を貸さず、この事実を隠蔽していました。
このCIA職員の個人情報を副大統領派がメディアに暴露(※正体を公にされる事は"諜報員としての死"を意味します)した騒動をきっかけに、事の真相が明るみに出ます。
問題の記事を担当したジュディス・ミラー記者は収監され、独断で取材源を明かして釈放されると、それまでミラー記者を擁護してきたニューヨーク・タイムズは手のひらを返したように社を挙げたバッシングを開始。ミラー記者を退社に追い込みました。

また、同紙のジェイソン・ブレア記者による記事73本(※2002.10-2003.5)のうち約36本が盗作・捏造だった事が発覚。一時は、当時の編集主幹と編集局長ホゥエル・レインズが辞任する事態にまで発展したジェイソン・ブレア事件も記憶に新しい醜聞です。

欲望の資本主義2017 ルールが変わる時』(BS-1 2017.1.6放送)および『すべての政府は嘘をつく』(BSプレミアム 2017.2.1-2放送)は、こうしたマスメディアとプロパガンダの関係性を具体例を挙げて検証した番組です。是非、再放送かオンデマンド配信での視聴をお勧めします。

スウィントンは上記のスピーチの中で「あなた方も私も同じです」と繰り返し語っています。
ニューヨーク・タイムズ一社だけの体質でもなければ、アメリカ一国だけの問題でもないのです。
近代マスメディアの原型とも云える「通信社」の仕組みを作ったのは、ヨーロッパ有数の大銀行家ロスチャイルド家。フランス政府機関の情報をいち早く掴み、主に戦争相場への投資で利益を上げる為、フランスで1832年に「アヴァス通信」を設立したのが始まりと云われています。
つまりマスコミは、始めから財閥の金儲けの為に誕生した側面が強いとも云えます。
程度の差こそあれ、これは全世界、全マスメディアに根を下ろす"宿命的"な深い闇なのです。


一方の日本では、アフィリエイト目的で信憑性の薄い記事を掲載するまとめサイトやブログが批判(2016.2.7 朝日新聞-ネット点描)されていますが、広告収入目当てにスポンサーに媚びへつらう"提灯記事"を配信し続けてきたマスメディアが自省もせずにどうこう言えた筋合いではないと思います。
2011年に福島第一原発事故が起きた当初、「原子力ムラ」の実態をありのまま報道したメディア・言論人がどれほど居たでしょうか?多くの公共電波・大手新聞・著名人たちが、大口スポンサーである電力会社や原子力関連企業からの資金欲しさに事故を過小評価して擁護に回るか、或いは圧力を恐れて口をつぐんでいました。
寡占化された公共電波局と大手新聞社による"専売特許"だった稼ぎ方が、インターネットの普及によって一個人でも出来るようになっただけの事ではないでしょうか。

また、デマが拡散されれば打ち消すのが難しいのも、ネットであろうと公共電波・大手新聞であろうと、大差はないように思えます。
ネットはデマが広まるのも早いものですが、デマの修正が広まるのもまた早い分、申し訳程度にしか掲載されない訂正記事頼りのマスメディアよりはまだ自浄作用があるように見受けられます。

何より、路地裏に匿名で落書きされたような"嘘"(=無編集なネット等の情報)と、有名企業や著名人の名のもとに権威付けされ美辞麗句と巧みな演出で加工された"嘘"(=編集されたマスメディアの情報)とでは、大衆に与える影響力があまりに違いすぎます。
これらを同列に語る事自体が、論理のすり替えであり、「メディア・リテラシー(情報識別能力)」が欠如しているのは他ならぬマスメディア自身である事からの"そらし"(※メディアの基本テクニック「叩き・そらし・宣伝」)報道に見えてしまうのは気の所為でしょうか。

「リテラシー(Literacy)」には「読み書きの能力・教養」と云う意味もあります。
洪水のように溢れる玉石混交の情報を選り分けるには、教養に裏打ちされた審美眼が必要になるでしょう。
「教養」とは、「創造的な理解力と知識」。その内容・定義は、時代や地域で十人十色です。
羅列された情報をただたくさん覚えるだけでは、単なる"物識り"に過ぎません。
不確かな噂話に迎合したり、目先の利益ばかり煽るような価値観を信奉しているだけでは、決して身に付かないものです。
一定の「文化」や「理念」に基づいた切り口、つまりは「ある軸を以て体系化された知識」を、別々の「軸」から出来るだけたくさん仕入れ続ける事。同じ著者の本ばかり読んでいては、ファンとしては楽しいでしょうが、視野は広がりません。

人間は「人格」と「肉体」を持って生まれた時点で、ある時代・ある地域に時間的・空間的に拘束され、「主観的」な存在である事を宿命付けられています。
そんな人間が発する情報に「客観性」を無理に求めるよりも、出来るだけたくさんの人の「主観」を集めて自分なりに結び付けて考え、検証を試みる方が泥臭くも実用的ではないでしょうか。(当ブログもその練習として始めたものでした)
マスメディアやSNSを利用する際も、それらを基礎知識にして情報をふるいにかける習慣を心がけるだけでも「騙された!」「どうしてこうなった!?」と踊らされる事態は減少する筈です。

一番簡単な手段は、質の良い本を読む事。勿論、電子ブックでもOKです。
とにかく、「一つの考えに貫かれたまとまった論理体系」のパターンを一つでも多く知っておく事です。
それも、作者の独りよがりではない、流行や商業主義とも関係のないファクト・チェック的アプローチで書かれた古典的名著(古代から近代までたくさんあります)やその分野の専門書(疑似科学や商業目的で流布された学説に引っかからない為)などがお勧めです。
「古語や専門用語が難しい!」「長編を読む暇がない!」と云う私(爆)のような方は、初心者向けの入門書・超訳本・解説本から読み始めてみるだけでも、また違うと思います。


先に挙げた「ナイラ証言」の"脚本"を書いたのはCIAでもNSAでもなく、『ヒル・アンド・ノウルトン』と云うアメリカの広告代理店でした。日本や中国にも支社を持ち、北京オリンピックのオフィシャルPRエージェンシーとしてオリンピックに関わるプロモーション活動を行ったりといった実績がある会社です。日本で云う所の電通や博報堂のような一流の大手企業です。
同様に、OS『トロン』や『NEL暗号チップ』といった日本発の世界標準にもなりえた技術を、アメリカ方式がシェアを獲得する為に排除した工作にもマスメディアが使われました。(参考『サイバーテロから身を守る』橋本典明)
特にNTTの子会社NEL(NTTエレクトロニクス)社が開発した『NEL暗号チップ』潰しは、巧妙に仕組まれたものでした。
まずは、IBM社に製品のサンプル出荷注文を出させ、"既成事実"を作る。その"事実"を元ネタに「日本のNTTが、アメリカに暗号戦争を仕掛けてきた」と云うかつての「黄禍論」のような「日本規格脅威論」を『ワシントン・ポスト』に触れ回らせたのです。
"記事の掲載を受けて"ホワイトハウスは公聴会を開催。一度は安全保障課の審査を通しておきながら、「日本はワッセナ条約(※軍事転用可能な技術の輸出入を制限する管理体制)に従った検査を怠った」と通産省(当時)に抗議してきたのです。
これに慌てた通産省が"自主規制"に走り、その後日本製の暗号製品は事実上の輸出停止に追い込まれました。
(※ちなみに、知人の会社が云十年前にNTTの光ファイバーシステム構築事業に参画した所、アメリカの圧力で中止に追い込まれ、日本の光通信網整備が大幅に遅れさせられたと云う話も個人的に聞いています)

湾岸戦争・イラク戦争では軍需産業と石油資本、日本製OS・チップの輸出停止圧力ではマイクロソフト社を始めとする米国IT業界、と云ったように大きな恩恵を受ける勢力は仕掛ける"イベント"ごとに違いはありますが、目的は一貫しています。
政治献金で議員を買収し、特定の業種や大手資本に有利な法案を通させる。資本の出資や広告料でメディアを買収し、恣意的な報道やCMを配信させて"都合の良い"国民世論を形成させる。シンクタンクや著名人に多額の"研究資金"を寄付し、商売のタネになりそうな"学説"を拾い上げて啓蒙させる。
全ては、財閥の「金儲け」の為。
財閥がその財力を以て、国家をも使って世界中の富を収奪している異様な世界構造の一端が垣間見えます。

特権階級のご都合で煽られる"風潮"に載せられてばかりでは、物欲を貪るだけの資本主義の家畜に成り下がってしまいます。
"家畜"の運命は、死ぬまで働かせた末の"屠殺"と決まっています。
マスメディアに意見を委ねて思考を差し出し、マスメディアに作られた風潮に迎合して自由を差し出し、マスメディアが格好良く演出する消費方法に財産を差し出し、マスメディアが賛美するモデル人生のように働き詰めて或いはモデル人生に当てはまらなかった事に絶望して生命すらも差し出す…。

そんな悪夢のような罠にかからない為にも、「自分はこう生きたい」と云う意思をしっかりと持って、「創造的な理解力と知識」を身につける事が大切なのではないでしょうか。
情報は思考の指針となり、思考は行動の動機となり、行動の積み重ねによって人生のかたちは構築されていくのですから。